社会は優しくアップデートされる。「LINE投書箱」で革命を起こす活動家が語る”恩返し”

“投書箱”というものがある。
これは、市民が行政に対して自分の意見を投げかけることができる仕組みのことだ。 古くは「目安箱」と呼ばれ、この仕組み自体は江戸時代から成立していた。 そこから現代まで脈々と受け継がれてきた「投書箱」という仕組みは、長い歴史こそあるが、 今ではそれほ ど上手く活用されていないという。

誰もが行政に意見を伝えられる場所はあるのに、それが円滑に機能していないのだ。 しかし、今、歴史ある「投書箱」という仕組みが、一人の若手起業家により大きな変革の時を迎えようとし ている。

今回SEEDTREEが注目したのは「LINE投書箱」を開発中の川合宏史さんだ。 川合さんは現在、誰もが触れたことのあるツール”LINE”を使って投書箱の仕組みをアップデートしようとし ている。
川合さんはなぜ、「LINE投書箱」を作ろうと思ったのか?まずはその原体験を探った。

「助けて」と言えない社会、そこが出発点だった

18,19歳の頃、川合さんはかなり過酷な状況にあったと語る。
家庭が一家離散の状態となり、新聞配達のアルバイトでなんとか生計を立てていた。
そんな時、周りには川合さん同様、助けを求める人で溢れていた。
川合さんはそこで選択肢の無い人達が日々をどう生きているのかを見たという。
そして、それを彼は”地獄”という端的な言葉で表現した。
筆者は正直なところ、それほど過酷な状況に陥ったことはないし、特段の苦労もなく今まで生き てきたような人間だ。
だから、そんな状況を自らの経験から想像すること難しかったが、「地獄」という言葉でその凄 まじさが一瞬で理解できた。

「助けて」という思いを伝える方法はいくつかあった。
電子フォーム、電話、行政の窓口などだ。
しかし、地獄のような状況にいる人達が難解な電子フォームを扱えるはずもなく、電話で助けを 求めようにもどこの窓口に聞けば良いのかも分からず、窓口に行く体力も持っているはずがない。
日々が「助けて」の連続だから、それに疲弊し、助けを求める体力が残っていないのだ。
そこは、「思考停止」の世界だった。

そんな世界の中で「助けて」と手を挙げ、何とか助かることができた川合さんだったが、そこで 彼はこんな思考に達する。

”もし過去に戻れるのなら、自分以外の人をもっと助けることができたんじゃないか?”

そこから川合さんは、当時周りにいた自分以外の人も救うためのアイディアを実現しようとした。
社会的なサービスのコストを下げて、みんなに聞き馴染みのあるLINEというツールを使って、自分が革命を起こす。
川合さんは、昔の自分が欲しかったものを作り上げようとしているのだ。


”LINE投書箱”で市民と行政を繋げる

現在の行政で使われている投書箱の仕組みでは、コミュニケーションを円滑に取ることができないという問 題がある。
例えば、自分が住んでいる町の道路がガタガタで、毎日そこを車で通るたびに迷惑をしているとしよう。
多くの人がそれを「まあ、仕方ないか」と黙認するが、ほんの一握りの人達が善意で行動を起こし、電話や 投書箱を利用して行政に連絡する。
ただ善意で連絡してもらったとしても、電話ではちゃんと場所が伝わったか分からないし、投書では本当に 読んでくれたのかわからない。

「LINE投書箱」はこれらの問題の解決に向けて、市民と行政の間に存在する壁を取り払う、画期的なアイ ディアだ。
しかし、こういった仕組みを導入する時、常に懸念されるのは、その導入コストとメンテナンスコストだ。
千葉県では、既存の仕組みを変えるため2013年スマホアプリ形式の投書システムを導入し、年間1200万円 もの多額の費用を投じてるという。
このようにして多額な費用を投資できる自治体は限られ、相手が行政とあっては、そういったコスト面をな おさら意識しなくてはならない。
一方で、川合さんが開発しているLINE投書箱は導入コストが格段に安く、月額15万円で導入が可能だ。
また、LINE上で動く仕組みなので、今までよりも行政員とスムーズなやり取りが期待できる。

社会はどのようにアップデートされるのか?

私たちは社会的なサービスにお金を払っている意識がない。
道路だって、警察だって、消防署だって、そこにあることが当たり前だと思っている。
しかし、当然それらには多くのコストがかかっていて、投書箱も例外ではない。
今後、少子高齢化等により税収減る厳しい財政状況化で 恒久的に社会的なサービスが続いていくためには、行政がそれを維持できるくらいの低コストで実現しなけ ればならない。

そのハードルを越えることで、昔の自分のような立場の人達が簡単に「助けて」 と言えるような場所を作り たい。
川合さんはそう語った。 そして、自身の「LINE投書箱」のアイディアを”「距離」「コスト」「デジタル」の革命”と表現した。
まさにこの一言こそがこのアイディアの本質を明確に表現している。
市民と行政の間にある距離を狭めてコミュニケーションのスピードを早め、コストを格段に減らして様々な 場所で投書箱が活用されるようにし、デジタルな仕組みを導入して行政側の働き方を改善する。
自分が地獄のような環境にいた時にそれを救ってくれたのは行政であり、だからこそ今の自分にできること でその行政に恩返しをしたい。
そう語る川合さんの姿には、地獄のような場所に足を踏み入れたからこその強い思いが感じられた。

川合さんの「恩返し」という言葉に私たちは強く感銘を受けた。
これまで多くの起業家・活動家を取材してきたSEEDTREEだが、起業家たちの口から「恩返し」というフ レーズを聞くことはこれまでほとんど無かったように思う。
それだけにその言葉は新鮮に感じられ、私たちに新たな視点を与えてくれた。 この”恩返し”はこれからの社会を「優しく」アップデートしていくだろう。 誰もが「助けて」と言える社会。
それを見逃さずに救うことのできる社会。
そして、
救われた人が今度は誰かを救う社会。 川合さんのアイディアはその連鎖を起こす起爆剤になるかもしれない。

SEEDTREEは今後も川合さんの活動を応援し、その軌跡を追っていく。
その先のどんな社会が広がっているのか、私たちは川合さんの話を聞きながら心を躍らせた。川合さんの活 躍の様子は以下のリンクからも見ることができる。
気になった人は川合さんとコンタクトをとってみるのも良いだろう。https://abematimes.com/posts/5647144

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